事業用定期借地権の新規地代の鑑定評価(認定子供園の開設)大阪府の泉州地区

事業用定期借地権の新規地代の鑑定評価(認定子供園の開設)大阪府の泉州地区

不動産鑑定評価ケーススタディー(この案件の概要)

大阪府の泉州地区で認定子供園の開設に伴い、土地所有者と事業用定期借地権の契約を締結し、適正な新規地代を把握するための鑑定評価を行いました。

大阪府泉州地区
大阪府泉州地区

土地の所有者が法人の代表者で、地代を支払うのが当該法人という税務上、問題となりやすい案件です。 このような不動産の賃貸借において注意すべきは地代の妥当性です。特に法人とそのオーナー間の賃貸借の場合は、低廉あるいは高額な賃貸借に当たらないかが焦点となり、その賃貸借に恣意性が生じやすいので、適正であるか税務上、問題となることがあります。 不動産が一般の市場で賃貸借される場合は、、貸主はできるだけ高く貸したいと考え、借主はできるだけ安く借りたいと考え、その両者の均衡点で賃貸借が成立し、恣意的な意思(経済的な利益供与)が入る余地は認められません。

しかし、法人とそのオーナー間の賃貸借の場合では、恣意性が認められやすいので、税務署のチェックがなされます。適正な賃貸借がなされたことを証明するために、不動産鑑定の鑑定評価をご活用できます。

事業用定期借地権の新規地代の鑑定評価

認定こども園とは(鑑定評価以外の基礎知識)

認定こども園とは、幼稚園や及び保育所など小学校に就学する前の子供に対する保育や教育、保護者に対する子育て支援などの提供を行う施設を言い、都道府県知事が条例に基づき認定しています。認定こども園が最も多いのは、大阪府と言われています。

現況で認定こども園が最も多いのは573か所開設されている大阪府となっている。

借地権の種類(事業用定期借地権等)

定期借地権にかかる鑑定評価の方法等の検討

不動産鑑定評価基準:各論第2章 賃料に関する鑑定評価(新規賃料)

1.新規賃料の価格形成要因

新規賃料固有の価格形成要因の主なものは次のとおりである。

(1)当該地域の賃貸借等の契約慣行

(2)賃貸借等の種類・目的、一時金の授受の有無及びその内容並びに特約事項の 有無及びその内容等の新規賃料を求める前提となる契約内容

不動産鑑定評価基準、国土交通省

宅地の正常賃料の鑑定評価は、こちらでも記載しています。

不動産鑑定評価基準:総論第 7 章第 2 節 賃料を求める鑑定評価の手法

不動産鑑定評価基準:総論第 7 章第 2 節 賃料を求める鑑定評価の手法

積算法は、価格時点の基礎価格に定期借地権の期待利回りを乗じて得た純賃料に必要諸経費(固定資産税等)を加算して新規地代を 求める手法であり、貸主サイド手法であることに注意が必要です。地価が上昇しない状況では、底地所有者ではなく、借地人が価格決定権を発揮するケースも考えられるからである。したがって、定期借地権の新規地代の鑑定評価において、借地人の視点に も配慮することも求められる。

賃貸事例比較法の適用は、難易度が高いと考えられている。定期借地権に係る新規地代は、かなり少なく、また、借地に係る残存期間や建物の買取の取扱い等について、賃貸事例で把握できていないことが多いからです。

定期借地権にかかる鑑定評価上の論点

有期であることの影響

定期借地権の場合、有期であることから、建物の建築時や将来の建物の解体等によ り、一体となる不動産の使用収益ができない期間が存在することが、借地人における事業採算性に大きな影響を与えることに注意が必要です。

定期借地権の新規地代は、借地期間が有期であることの影響を鑑定評価で考慮しなくてはなりません。借地人にと っては、借地期間における当該土地を一定期間借りることに対して採算が合わなくてわならず、当該採算性を考慮した地代となることが一般的です。 また、地主にとっては、将来、土地の返還が確実な定期借地権であることから、普通借地権と期待利回りが異なると考えられています。

将来建物の譲渡価格の影響

建物譲渡特約付借地権に関する将来的に建物を譲渡する場合の対価について、明確な取り決めがなされていない場合は、借地借家法の考え方により、将来見込まれる建物の相当の対価を把握する必要があります。この場合、特約の有無やその特約の内容を確認の上、将来必要な収益及び費用を織り込むことが必要です。これは、定期借地では、借地期間が満了する場合、更地返還が原則となり、定期借地契約の契約内容によっては、借地権設定者である地主に対し建物が無償譲渡されることが考えられます。また、建物譲渡特約がある場合には、建物に関する相当の対価を受け取ることで借地契約が終了する場合も考えられます。これらの特約の有無やその特約の内容を確認することが必要です。

定期借地権を設定した複合不動産の賃貸を想定した場合における家賃は、その複合不動産が定期借家契約の場合、普通借家契約の場合より低位になることが予想される。これは期間に制約の受ける定期借家契約は、その分、家賃が引き下げられることが通常だからです。

複合不動産の未収入期間も地代の支払い

定期借地権契約を設定しても、いきなり建物が建築されることはなく、複合不動産の使用収益が期待できない期間が存在することに注意しなくてはならない。この期間においても、地代の支払いが行われるのが通常であり、定期借地権に係る新規地代の鑑定評価では、建物の使用収益ができない期間等の影響も考慮する必要性が認められています。

前払いの地代等

権利金の授受や前払の地代は、借地人にとって将来における支出の前倒しとなることから、経済面では不利となり、地主にとっては将来地代を前受けできるため有利となることに留意しなくてはならないです。

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